カラーバリエーションが豊富な宝石 スピネル

カラーバリエーションが豊富な宝石 スピネル

スピネルはとてもたくさんの色合いを持つ天然石で、ブラックやレッドが一般的に有名です。他にも、ピンク、オレンジ、ブラウン、グリーン、ブルー、無色とカラーバリエーションが豊富で、濃淡の違いまで見ていくと絵の具のパレットが出来上がるくらいの種類があります。この様々な色味は石が含有する鉄、クロム、マンガンなどそれぞれ微妙な量の違いによるものです。

全体に透明感があり、宝石にするとカットが非常に映えてきらきらと美しく輝きます。これはスピネルが持つ結晶の屈折率が高く、緻密にカットすることでより一層煌めきが増すためです。このように美しく上質な姿をしているため、化学的な鑑定が発達していない時代には長らくレッドスピネルとルビー、またブルースピネルとサファイアなどが混同されてきました。

 

名前の由来

スピネルの名前は、ラテン語で棘(とげ)を意味する「Spina(スピナ)」やギリシア語で火花を意味する「Spitha(スピタ)」に由来します。スピネルはもともと八面体結晶を持っており、その先端は鋭く尖っています。産出する際にこの先端が母岩から顔を覗かせて、棘のように見えることから命名されたようです。

 

主な産地

スピネルの主要産地はミャンマーです。ちなみにミャンマーはルビーの一大産地であることからもこの2つの天然石が混同されてきたという想像がつきますね。カラースピネルの中でも有名なブラックスピネルは、タイが主要産地です。

 

伝説・言い伝え

スピネルは長年サファイアやルビーなどと間違われ、スピネルという名前が付けられたのも18世紀に入ってからといわれています。

昔は「赤く美しい宝石は全てルビー」と呼ばれていた時代もあったといいます。

そんな事情もあり、スピネルとして残っている歴史上の記述はあまり多くないようです。

現在宝石として扱われた最古とされるスピネルは紀元前100年頃のもので、アフガニスタンのカブール近くで発見されたものだといわれています。仏教徒の墓地から出てきたそうです。

次に古いのがローマ時代のブルースピネルで、イギリスで発見されました。

スピネルがコランダムとは別の鉱物であると明確にされたのは、1783年のことです。

フランスの科学者ロメ・ドゥ・リール氏によって初めて科学的根拠に基づき識別できるようになりました。

 

有名なスピネル

 美しいレッドスピネルのいくつかは世界の名だたるコレクションの一つとして収蔵され、現在でもその変わらぬ美しい姿を見ることが出来ます。

黒太子のルビー

黒太子のルビーとは140ctもある巨大なレッドスピネルで、イギリス王室が所有する歴史的に有名な王冠の中央にあしらわれています。

1367年のナジェラの勝利後、当時のイングランド国王の義理の息子であったブラックプリンス(黒太子)に贈られたものと伝えられています。

宝石としての価値はレッドスピネルよりもルビーのほうが上ですが、現在の産出量で比較するとレッドスピネルはルビーの数分の1とも言われているそうです。

140ctという巨大な原石が産出されることも滅多にないと思えば十分に稀少価値が高く、レッドスピネルとして見ても貴重な宝石であることには変わらない気がします。

 

ティムール・ルビー

黒太子のルビーと同じくイギリス王室が所有し、エリザベス女王のネックレスにあしらわれている「ティムール・ルビー」。

352.5ctと最大級に大粒で、所有した6人の名前が刻まれているとされる、歴史を感じさせる宝石です。

名前は、かつての持ち主の一人、ティムール帝国を築いたと言われるティムール氏から。

 

エカチェリーナ2世のルビー

ロシア帝国のコレクションの一つで、エカチェリーナ2世の帝冠にセッティングされた巨大なレッドスピネルです。

398.72ctと、ティムール・ルビーよりも更に大きいです。

ピョートル大帝の貴重なコレクションの中でも、稀少価値が高く評価されている7つの宝石の内の一つです。

この美しいレッドスピネルは、14世紀にチュン・リーという中国人によって発見され、その後1676年に中国皇帝と交易交渉を行っていたロシア大使に購入されロシアに持ち込まれたと言い伝えられています。

1762年にエカチェリーナ2世が自身の戴冠式に向けて帝冠を作らせた際、別の帝冠から取り外され、他の宝石たちと共にセッティングされました。

 

スピネルの魅力

スピネルはカットによって、光を当てるときらきらとよく輝く印象があります。

宝石が光の中で輝く理由は色々あると考えられていますが、最もよく言われるのは、ダイヤモンドやスフェーン、スファレライトなどのように屈折率や分散率が高いということ。

しかしスピネルは、それ程屈折率や分散率が高い訳ではありません。

では、なぜよく輝く印象があるのでしょうか。

考えられる理由の一つは硬度が高いことだそうです。スピネルはモース硬度が7.5~8と比較的高い方です。

モース硬度が高い宝石はエッジが立って見えやすいといわれているそうです。

スピネルは強いガラス光沢をもちますので、ファセットカットが施されると、ファセット面に光が当たることで光沢感が増し、きらきらと輝く印象を与えていると考えることができそうです。

 

種類とそれぞれの石言葉

ブラックスピネル

透明感はありませんが、美しい光沢感が魅力的です。小さな原石でも細かくカットを施すと本当によく輝きます。

石言葉は「果敢」「破邪」「突破」です。

魔除けの意味合いがあると信じられてきたことから付けられました。

 

レッドスピネル

幾度となくルビーと間違われてきた歴史を持ちます。確かにそのはず、見た目は透明度の高い真紅でよく似て見えます。しかしレッドスピネル自体にも類まれな価値があり、人気の天然石です。またルビーと異なる点として、比べるとレッドスピネルの方が色味がより均一に見える場合が多いです。その赤色はルビーよりもやや朱色のニュアンスを纏ってみずみずしく「ストロベリー・レッド」と表現されることも。

石言葉は「活力」「勝利」「情熱」です。

勝負運に効くという意味があります。石言葉についてもルビーと相通じる面がありますが、レッドスピネルの方がより力強い印象です。

 

ピンクスピネル

ピンクスピネルはレッドスピネルよりもわずかに淡い色味をしていながらも、優しいパステルピンクからまるでネオンカラーのような鮮やかな濃いめのピンクまで豊富な種類があります。中でも特に濃い色合いのピンクは、時としてレッドスピネル以上の稀少価値を持つこともあります。見ているだけで心躍るそのカラーと輝きはカットにより最大限高められ、多くの方に愛される宝石です。

石言葉は「ポジティブ」「自己達成」です。

物事に対するやる気を引き出して、モチベーションをアップさせる意味を持ちます。確かに、ピンクスピネルの幸福なカラーを見ているだけで元気が湧いてきます。

 

ブルースピネル コバルトスピネル

どちらもブルーの色味のスピネルですが、その色味の違いから区別されています。ブルーの発色をするスピネルには鉄とコバルトが含まれています。ブルースピネルは鉄が多くコバルトが少ないもので、コバルトスピネルは鉄が少なくコバルトが多いものという分類がされます。色味の違いで見ていくと、コバルトスピネルの方がより鮮やかなブルーという印象を受けます。ブルースピネルはグレーやグリーンがかった、落ち着いてシックな色味のブルーです。こちらがよくサファイアに間違われたりもしてきました。コバルトスピネルの方が流通量が少なく、比べるとやや高価になることが多いですが、どちらも人気のあるスピネルのカラーバリエーションです。

ブルースピネルの石言葉は「審美眼」「美的意識」です。

その美しさに見合う内面の輝きを意味しています。誇り高いイメージは古来よりサファイアと見なされてきたことからも分かります。

コバルトスピネルの石言葉は「成功」「カリスマ性」です。

まさにそのコバルトカラーの稀少性が意味の由来となっています。カリスマ性をより引き出して成功へ導いてくれる特別さが伝わります。

 

8月の誕生石

2021年12月、日本の誕生石がなんと63年振りに改定され、スピネルは8月の誕生石として新たに仲間入りをしました。たくさんのカラーバリエーションを持つスピネルなので、それだけでお誕生日シーズンが楽しくなりますね。カラーごとに異なる石言葉を持っている面も、贈り物として選ぶ際に気持ちが高まります。毎年違うカラーを楽しむこともできますね。

 

誕生石のジュエリーは、贈り物やご自身のお守りジュエリーとして人気があります。自分の生まれた月の宝石には、特別な想いを持っている人も多いのではないでしょうか。それぞれの誕生石には「宝石言葉」や、「自分の誕生月の宝石を身につけていると願いを叶えてくれる」というお守りとしての言い伝えもあります。ファッションに、ギフトに、お守りに。あなただけの特別な一本を見つけてください。

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