華やかな黄色のクォーツ シトリン
シトリンはクォーツの一種です。クォーツの中でも、華やかな黄色のものが「シトリン」と呼ばれます。蜂蜜のような淡い黄色から、オレンジ色がかった黄色まで、同じ石でも様々な色合いをもつのが特徴です。
歴史
シトリンはクォーツの一種ですが、その歴史はとても古いものです。 古代、シトリンは幸福の宝石と信じられていて、邪悪な考えを追い払うお守りとして使われていました。
また、クォーツは何千年も昔から装飾品に使用されてきました。ビクトリア朝時代のペンダントやブローチには、シトリンがあしらわれているものも数多くあります。
名前の由来
シトリンの名前の由来は、フランス語の「シトロン(citron)」が語源です。シトロンは、インド原産のミカン科の植物です。淡い黄色の実を付け、日本語では「丸仏手柑(まるぶしゅかん)」と呼ばれる果物です。このシトロンの実の色に似ていることから、シトリンの名が付けられました。
和名では、その色合いからそのまま「黄水晶(きすいしょう)」と呼ばれています。
産地
主要な産出地は、ブラジル、ボリビア、スペイン、マダガスカルなどアフリカの国々です。中でもブラジル産のシトリンは、世界最高級の品質であると称されています。
特徴
シトリンの黄色やオレンジ色は、クォーツの結晶構造に含まれているごく少量の鉄分によるものです。クォーツの鉄分が光の波長によって、黄色やオレンジ色に輝いて見えます。
自然界に存在するシトリンはアメシストが地熱などでじっくり熱せられ、シトリンへ変化したものです。天然のシトリンは非常に稀少で、価値が高いと言われています。
石言葉
シトリンの石言葉は諸説ありますが、「繁栄」「成功」「富」「幸福」「希望」があります。
カラーバリエーション
シトリンのカラーバリエーションは、パステル系のレモンイエローからゴールデンイエロー、マンダリンオレンジ(蜜柑色)、マデイラ(マデイラワインの色)まで、様々です。昔から好まれているのはマデイラの色合いですが、最近ではもっと明るいレモン色を好む人も増えています。
シトリンの薄らと黄金色がかった透明感のあるカラーは嫌味がなく、優しさと気品を感じさせてくれますが、その発色がより鮮やかで濃いものをブランデーシトリンと呼びます。これはその名の通り葡萄を醗酵させ、蒸溜したお酒「ブランデー」から由来しています。ブランデーシトリンは通常のシトリンより絶妙に色が鮮やかで濃いです。蜂蜜のような琥珀色、もしくはまろやかな飴色とも言えます。
フランスのコニャック地方で、厳格に定められた製法で製造されたブランデーをコニャックと呼びますが、ブランデーシトリンも別名で「コニャックシトリン」と呼ばれることもあります。
バイカラーシトリン
明るい金色がかった黄色のシトリンと氷のように白いホワイト・クォーツが美しく融合し、ひとつの宝石になったものをバイカラーシトリンといいます。
これは、形成の過程で環境が変化したために起こり、色の元となる物質(鉄分)が結晶に含まれる時期によって、色の層が変わることによります。
この特徴を使って意図的にカッティングを加えて作られるバイカラーシトリンは、色のコントラストのバランスが良いほど高く評価されます。
アメトリン
シトリンとアメシストが同じ水晶内に混在したもののことをアメトリンといいます。反対色でもある黄色と紫が溶け合うバイカラーの水晶はとってもミステリアスです。天然のものはボリビアにあるアナイ鉱山でのみ採れる希少な種類です。
お手入れについて
シトリンを保管する時は、直射日光を避けましょう。日光を長時間当てると、退色の原因になります。またフッ化水素酸、フッ化アンモニウム、およびアルカリ溶液によっても損傷の恐れがあります。
また他のジュエリーと一緒に保管する時は、ダイヤモンドなどの硬い宝石とぶつかることのないようにしましょう。シトリンの硬度は7であり、比較的ジュエリーとして扱いやすい耐久性を持った宝石といえますが、ダイヤモンドやトパーズなど、より硬い宝石との接触でキズが付いてしまうこともあります。
シトリンは11月の誕生石の1つとして知られています。他にも11月の誕生石には、トパーズがあります。自分の誕生石を身に着けると幸運が訪れるという言い伝えもあり、誕生日や記念日に自分の誕生石があしらわれたジュエリーをプレゼントされたことのある人もいるかもしれません。
また、シトリンは結婚5年目の木婚式で贈る石としても知られています。木婚式で送るシトリンには「太陽のように明るく、幸せな夫婦生活を送れるように」という願いが込められています。
幸運を呼ぶ石として人気があるシトリン。透明感のあるイエローやオレンジのビタミンカラーは、見ているだけでも気持ちを明るくしてくれます。日々身につけるジュエリーとして、探してみるのもいいかもしれませんね。