高貴なグリーンの輝きを放つ宝石 エメラルド
古来より人々を夢中にした宝石【エメラルド】は、5月の誕生石として有名です。また、結婚55周年の結婚記念石としても知られています。結婚55周年を祝う式はエメラルド婚式と呼ばれ、エメラルドのジュエリーを贈ることもあります。
ユダヤ教では聖なる石として、カトリック教では法王石として尊ばれてきた歴史をもつエメラルドは、世界4大宝石のひとつとして数えられ、現在でも世界中で愛される人気の宝石です。
石言葉と石の意味
石言葉は「幸福」「幸運」「愛」「希望」です。
エメラルドを眺めていると視力が回復するなど、目に関する言い伝えや、身に着けると森の中に居るような安らぎが得られ、思考力が高まり、行動力をもたらすとも言われています。
特性
美しい緑色の宝石エメラルドは緑柱石(ベリル)と呼ばれる鉱物グループの1つであり、青色のアクアマリンや、ピンク色のモルガナイトの仲間です。宝石の傷つきやすさを示すモース硬度は7.5~8と比較的高く、割れやすさを示す靭性は比較的良好です。しかし、エメラルドは内部に傷のようなインクルージョン(内包物)が多く見られる宝石です。そのため、身に着ける際には衝撃などに注意した方が良いでしょう。
エメラルドの内部に多く見られる傷のようなインクルージョンは、宝石の成長過程で生まれるものなので、ある程度の傷は仕方がないと言えます。これは、エメラルドが結晶になる際に不純物を取り込むと、無理が生じて亀裂ができてしまうためです。
エメラルドを選ぶ際には、目立つ傷が少ないものや、傷が小さいものを選ぶのがポイントです。肉眼では見えない場合もあるので、可能であればルーペで内部の傷を確認すると良いでしょう。
様々な岩石の変遷と共に成長したエメラルド結晶は、生まれながらにして液体・気体を数多く石の中に宿します。このことをとても詩的に「石の中に庭(ジャルダン)がある」、と表現したフランス人科学者がいました。太古の液体や気泡を閉じ込めたエメラルドを、奥深く顕微鏡でじっくり眺めていると、遥か億年前の地球の歴史が見えて来るようです。
歴史
エメラルド鉱山として知られている中で最も古い鉱山はエジプトとされており、紀元前330年から、古くは紀元前1700年代に採鉱されていたと考えられています。歴史の深いエメラルドは、人々の心を引きつけ夢中にさせた宝石として、世界各地で数々の伝説があります。あのクレオパトラもエメラルドを愛用していた1人。
インカ帝国では質の良いエメラルドが産出され、ペンダントや首飾り、神殿の装飾などに多く用いられていましたが、その後スペイン人がエメラルドを貴金属と交換したことから、欧州やアジアの王族達が美しいエメラルドの宝石に注目するようになったようです。
エメラルドは、身に着ける方を際立たせるだけではなく、心を和ませて癒すという不思議な力を秘めています。それは自然が創り上げた不思議な石で、地球からのプレゼントといえるでしょう。宝石はそれが天然である場合、同じものは二つとしてありません。そういう意味では、どんな宝石もそれを所有する方にとって「唯一無二」のものだと思います。
お手入れを怠らずに永く身につけていくことで、それぞれの想い出のシーンが増えます。あなたにとってのエメラルドは、一層価値あるものになるでしょう。