宝石の女王 ルビー
7月の誕生石といえば、赤色が印象的なルビーが有名ですよね。
2021年12月、全国宝石卸商協同組合は63年ぶりに誕生石を改訂し、7月の誕生石にも新しくスフェーンが追加されました。
スフェーンも魅力溢れる素敵な宝石ですが、今回は一足先にルビーについてお話していきます。
ルビーはダイヤモンド、サファイア、エメラルドと並ぶ「4大宝石」の一つに数えられ、古来より人気のある宝石です。美しく輝く赤色をしたルビーは「宝石の女王」とも呼ばれ、特に女性に人気があります。
ルビーの魅力は何といってもその色です。情熱的とも言えるルビーの赤色は「どんな赤よりも美しい」とも言われ、さらに古来からの言い伝えや希少性とも相まって世界中の人々を魅了しています。
7月の誕生石
ルビーは7月の誕生石に指定されています。夏の輝く太陽のような、真っ赤なルビーには神秘の力が宿っていると考えられており、古くからお守りとして身に着けられていたようです。
ルビーの石言葉
ルビーの鮮やかで燃えるような赤色は、生命力や情熱、深い愛の象徴とされていたことから、「情熱」・「純愛」・「勇気」・「仁愛」といった石言葉があります。ポジティブな石言葉が多いので、パワーを貰いたいときに身に着けるのは勿論、大切な方へのプレゼントとしても最適です。
ルビー婚式
みなさんは「ルビー婚式」というものをご存知でしょうか。ルビー婚式は、結婚40年目を迎えた夫婦のお祝いです。
ルビーはダイヤモンドの次に硬く、非常に丈夫であることから、硬い絆で結ばれた夫婦の象徴ともされています。
日本では結婚25周年の「銀婚式」や結婚50周年の「金婚式」が有名で、家族で大々的にお祝いをする方も多いと思います。ルビー婚式はなかなか馴染みがないかもしれませんが、夫婦の深い信頼を確かめ合う良い機会にもなりますので、ぜひルビー婚式に素敵なルビーを贈ってみてはいかがでしょうか。
ルビーとサファイアの関係性
コランダムと呼ばれる酸化アルミニウムの結晶からなる鉱物の中でも、赤い色をしたものをルビーと言います。コランダム自体は無色透明ですが、ルビーは1%の酸化クロム(不純物)により赤色になります。微量な酸化クロムがコランダムと結びつき、美しい赤色に発色することは非常に稀なので、ルビーは希少性が高いのです。
また、サファイアも同じコランダムという鉱物からできています。ルビーとサファイアが同一の鉱物であることが分かったのは18世紀になってからです。
サファイアの場合は、ルビーとは別の不純物を要因にして、イエロー、グリーン、ピンクなどに発色します。赤色以外のコランダムは全てサファイアに分類されるので、サファイアには様々な色が存在します。
つまり、赤いコランダムはルビー、その他の色のコランダムがサファイアです。
歴史
ルビーの歴史は非常に古く、一説によると青銅器時代にはすでに存在していたとされています。しかしながら、古代では鉱物の科学的な組成が解明されていなかったため、ガーネットやトルマリン、レッドスピネルといった赤い宝石はすべてルビーと分類されていました。特にスピネルとの判別が難しく、1783年にようやくルビーと別物であることが分かったと言われています。それに伴い、大英帝国王冠にセットされている、14世紀にエドワード皇太子が譲り受けたという「黒太子のルビー」が、ルビーではなくスピネルであったということが後に判明しました。
伝説
ルビーは何世紀もの間に、多数の伝説を蓄積してきました。 インドの人は、ルビーによってその所有者は、敵と平和に生きることができると信じていました。 ビルマ(現ミャンマー)では、戦士たちが戦いで無敵となるよう、ルビーを持っていました。ルビーを身に着ける、もしくは皮膚の中にまで入れて戦いにおける勝利を祈願したとも言われています。ルビーには特別な力があると考えられていたようです。
ルビーは、西洋文化の誕生とともにその重要性を維持し、ヨーロッパの王室や上流階級に最も求められる宝石の一つとなりました。 多くの中世ヨーロッパ人は、健康、富、知恵、そして恋愛の成功を保証するためにルビーを身に着けていました。
ルビーの種類
ルビーは色の違いによって下記のように3種類に分けられています。
〈ピジョンブラッド〉
ルビーの中でも最高品質と言われるのがピジョンブラッド(鳩の血)です。ルビーの色の濃さはクロムという不純物の割合によって決まります。クロムが多いと赤黒く、逆に少ないとピンクに近い色合いになります。
ピジョンブラッドの場合、クロムの量が1%程度と絶妙なバランスであることから、色が濃く、鮮やかな赤色をしています。
〈ビーフブラッド〉
ビーフブラッド(牛の血)は、鉄分を多く含んでいることから、ピジョンブラッドよりも黒味がかった赤色が特徴です。赤というと派手な印象を受ける方もいるかもしれませんが、ビーフブラッドは落ち着いた赤色なので、重厚感があり、大人の女性にも適した色合いです。
〈チェリーピンク〉
ルビーの中でも特に明るく、ピンクに近いのがチェリーピンクです。ピジョンブラッドやビーフブラッドに比べるとクロムの含有量が少ないので、透明感のある可愛らしい印象になります。
ルビーのお手入れ方法
繊細に見えるルビーですが、実は硬度が高く、ダイヤモンドの次に硬い宝石です。そのため、長く身に着けていてもキズがつきにくく、割れたりする心配もありません。ですが、丁寧にお手入れすることでより長く愛用することができます。
普段のお手入れとしては、柔らかい布でほこりなどを軽く拭き取る程度で構いません。少し汚れが気になった際は、ぬるま湯に中性洗剤を溶かし、その中にルビーを入れ、優しくこすり洗いをしてください。洗い終わったら水で洗い流し、しっかり水気を拭いてあげると綺麗になりますよ。
ルビーは太陽光に当たると退色しやすいので、お手入れ後は保管場所にご注意ください。
古代から人々を魅了する鮮やかな赤色。まさに「宝石の女王」という名にふさわしい輝きを放っていますね。ぜひ、普段のファッションにもルビーを取り入れてみてくださいね。