ネオンブルーに輝く稀少な宝石 パライバトルマリン
ネオンブルーの輝きが綺麗で稀少な宝石。
世界三大稀少石のひとつとして知られています。
パライバトルマリンはトルマリンの変種の一つです。
蛍光がかったブルー~グリーンの色合いが特徴的で、トルマリンの中では最も人気も価値も高いとされています。
歴史
パライバトルマリンは、1987年にブラジルのパライバ州バターリャで最初に発見されたといわれています。まだ、比較的歴史の浅い宝石です。初めて発見された当時、その未だかつてない鮮やかすぎる色味に、誰も天然石だと信じてくれなかったという話があるそうです。
ブラジル人探鉱者エイトール・ジマス・バルボーザによってパライバトルマリンの産出地が発見されました。パライバ州の丘陵地にきっと良い宝石があると信じて7年間掘り続け、やっと最初のパライバトルマリンの結晶を掘り出しました。
1990年後半頃、パライバ州の隣のリオグランデ・ド・ノルテ州でも同様の色と成分をもつトルマリンが発見されました。当初はブラジルからしか産出されなかったパライバトルマリンですが、2001年にはアフリカのナイジェリアで、2005年には同じくアフリカのモザンビークでも発見されました。
名前の由来
最初の発見地であるブラジルのパライバ州にちなんでパライバトルマリンと名付けられたといわれています。当初はブラジルから産出されるものだけをパライバトルマリンと呼んでいたようですが、現在では条件を満たしていることが分かれば、パライバトルマリンと呼ぶことができます。
和名は「リチア電気石(銅リチア電気石)」といいます。電気石とは、加熱すると電気を帯びる性質を持つことから名付けられました。電気と聞くとビリビリという効果音のものを想像しますがそこは小さい鉱物なので、ホコリや灰を吸いつける程度です。その様子からヨーロッパではセイロン磁石とも呼ばれていたそうです。
産地別の特徴
現在は海を隔てて切り離された南米とアフリカ大陸ですが、太古の時代にはひとつの大陸として繋がっていました。パライバトルマリンの原石はとても古い地層で発見されていることから、何千万年も前に地中で生成したものだと考えられています。人類が誕生するよりも遥か昔の時代に、大きな地殻変動によって離れ離れになってしまった南米とアフリカ。そんな中で生き残ったパライバトルマリン達は、遠く離れたブラジルとナイジェリアやモザンビークの地中奥深くで、高熱と高圧にさらされながら、長い間ずっと生き続けてきたのです。
パライバトルマリンは産地特定ができる宝石です。産地によって価値が変わる場合もあります。
ブラジル産パライバトルマリン
ブラジルのパライバ州バターリャは、パライバトルマリンが世界で最初に発見された場所です。それ故、この土地に敬意を表して『パライバトルマリン』という名前が付けられましたが、人気に一気に火が付いたことから鉱山が枯渇し、稀少価値がどんどん上昇していきました。
パライバ産のパライバトルマリンの特徴は、多量の銅を含有することから独特のネオンブルーをしています。また、色が比較的濃い・インクルージョンが多い・宝石品質で大粒のものが産出されにくいため、0.3ct程度でも発色が良く透明度が高いものは少ないといった特徴があります。
特に特徴的な独特のネオンブルーは銅を多く含むパライバ産のみがもつと考えられており、1カラット以上の宝石品質のものは非常に稀少です。その上、入手が困難なことから最も高い価値が付けられています。
ブラジルのもう一つの産地である、リオグランデ・ド・ノルテ州のパライバトルマリンは、色が薄くパライバ産ほどの品質ではないものも多いそうです。
アフリカ産パライバトルマリン
アフリカで初めてパライバトルマリンが発見されたのはナイジェリアで、2001年のことだといわれています。一般的に薄い色合いをしたものが多く、アクアブルーやミントグリーンといった爽やかな色合いが特徴的です。さらに2005年にはモザンビークでもパライバトルマリンが発見されました。
アフリカ産のパライバトルマリンは銅の含有量がブラジル産に比べて少ないことから、色は比較的薄くなりますが、サイズが大きく透明感も高いのが特徴的です。色の種類も豊富で、ミントグリーン、アクアブルー、深紫、青、青緑、赤紫色などが見られます。高品質で色が濃いものが産出されることもあるそうです。しかしナイジェリアの鉱山は既に枯渇しており、閉山されたといわれています。
パライバトルマリンの定義
パライバトルマリンとは、銅とマンガンを含むブルーからグリーンのトルマリンと定義されています。
実際に流通しているパライバトルマリンにはネオンブルーカラーのものから、ややエメラルドグリーンのニュアンスを含んだものまで色々です。ブルーの色味がそういったグラデーションになる要因は様々ですが、その一つに銅とマンガンの含有量があります。銅がより多いとネオンブルーカラー寄りになり、マンガンが多いとグリーンの発色が強くなってくると言われています。
品質の見分け方
パライバトルマリンの品質は、色・内包物・輝き・産地が重要点となります。
色は独特のネオンブルー。内包物などの見られない、高い透明感のもの。ギラギラとした輝きと特有のテリ。産地はブラジルパライバ州のものが高価で手に入りにくと言われています。
色による価値の違い
パライバトルマリンといえば鮮やかなネオンブルーが最も有名ですが、実際はネオンブルー~ネオングリーンまで色幅があります。パライバトルマリンの場合、色によっても価格差が出るといいます。そして人気も価値も高いのは、ブルー味の強いものです。
石言葉
パライバトルマリンの石言葉には、「ルーツ」「スタート」「新鮮さ」「希望」などがあります。
ルーツやスタートという何かが発生して始まるイメージは、鮮烈な登場を遂げたパライバトルマリンにぴったりですね。
世界的に見て人気が高まり続けているパライバトルマリン。特にレアなブラジル産は、今後更なる価格上昇も予想されているようです。思い切って高品質のものを買うか、まずは手が出せる価格のものから始めるか、色々迷うところかもしれません。
しかし、いつか手に入れたい、憧れの宝石パライバトルマリン。あなたにとって特別な一つに出会えますように。